神奈川県大磯町立「大磯町郷土資料館」 常設展内グラフィックイラストを担当
神奈川県大磯町立「大磯町郷土資料館」が2016年11月3日(木祝)に、リニューアルオープンしました。1988年10月に大磯城山公園(じょうやまこうえん)内に建設された同館の外観は、三井財閥本家の別荘「城山荘」(じょうざんそう)の雰囲気を伝えています。館内は、従来の大磯の考古・自然・民族に加え、別荘地としての大磯という、新たな展示物を設置。太古から近代までの大磯の暮らしを紹介しています。
大磯町郷土資料館 外観(撮影は昨年10月のものです)
展示物は4つのテーマに分類され、それぞれのテーマを表すビジュアルイラストが掲げられています。学芸員の先生方の研究の表象をビジュアル化するということで、イラスト制作に携わりました。
デザイナーの田中さんからはデザイン面、学芸の先生方からは科学面でのご指示をいただき、何度も修正を繰り返し忠実に学芸資料をビジュアル化しました。事実と自分のタッチと、そして見た人にどう感じて欲しいのかのバランスを取るには、まず資料と先生方の考えと、アートディレクションをされるデザイナーの考えを深く理解しなくてはならないので、はじめの構成作業にはじっくりと時間をかけました。
ラフ作業の前には、実際に大磯に赴き、郷土資料館内の土器などの資料を観察し、大磯の町を散策しました。ペン入れの際にも、実際に存在している(いた)ものなので実物と遜色ないよう、且つそのものが醸す雰囲気を絵画的に表現するために細心の注意を払いながら描きました。指定のモチーフと背景とタイポグラフィの組み合わせには熟考を重ね、現在のビジュアルに至ります。
館内 常設展示の様子(特別に許可をいただいて撮影しております)
以下、イラストについての解説です。
いにしえの暮らしメインとなる土器は縄文時代の注口土器(ちゅうこうどき)です。背景は弥生時代の深鉢の文様を取り入れました。主役の注口土器が背景に埋もれてしまわぬよう、描き分けに注意しました。
自然のいとなみ
大磯の象徴的な野鳥であるアオバト(オス)が、海辺で海水を飲みに来た様子を描写しました。アオバトは夏から秋にかけてミネラル補給のために、大磯の海にやってきます。オスのアオバトは、頭から背中にかけてはオリーブ色ですが、肩から羽の部分が赤い色をしています。モノクロでもその色の違いが分かるよう、気をつけました。祭りがつなぐ心
大磯は海と丘に囲まれた自然豊かな土地です。大地は多くの恵みを与えてくれますが、時に生活や命が危険に晒されることもあります。人々は安心して毎日を暮らせるよう、神仏祈りを捧げ、加護を求めてきました。その祈りの心を表すものとして、身近に存在する道祖神を描きました。
憧憬の地
冒頭にも記しました、三井財閥本家の別荘「城山荘」を描きました。三井総領家第10代当主・三井高棟(たかみね)による、独自の発想のもとに建設された城山荘は、三井家のシンボルとなりました。建物は資料として提供された写真から作画しましたが、左右の木々や草、石造りなどは、当時こんな様子だったとお話を伺い再現しました。郷土資料館エントランスには、城山荘の保存部材を再現展示されています。
常設展について、大磯町の公式ページに詳細が掲載されています。
神奈川県「大磯町郷土資料館」▶常設展示
常設展について、大磯町の公式ページに詳細が掲載されています。
神奈川県「大磯町郷土資料館」▶常設展示
お近くにお住いの方も、そうでない方も、ぜひ素晴らしい展示の数々をご覧くださいませ。大磯という町の歴史や風土、民族を知ることで、日本の歴史と今を感じることができます。今日改めて館内を拝見したことで、新たな創作意欲が湧いてきました。
また、企画展示室では、リニューアル記念企画展「遺跡からみる近代別荘地の形成と展開」が開催されています。同館オープンから28年の間に、新たに発掘された資料が展示されています。個人的に興味をひいたのは、汽車土瓶です。今は当たり前のように、缶やペットボトル飲料を購入していますが、それらが発明される前は、長距離移動する際に何を使っていたかは考えたことがありません(電車で旅行することが多い方にとっては、周知の事実でしょうか…?)。新しい発見があり、とてもおもしろい展示でした。
また、企画展示室では、リニューアル記念企画展「遺跡からみる近代別荘地の形成と展開」が開催されています。同館オープンから28年の間に、新たに発掘された資料が展示されています。個人的に興味をひいたのは、汽車土瓶です。今は当たり前のように、缶やペットボトル飲料を購入していますが、それらが発明される前は、長距離移動する際に何を使っていたかは考えたことがありません(電車で旅行することが多い方にとっては、周知の事実でしょうか…?)。新しい発見があり、とてもおもしろい展示でした。
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神奈川県大磯町立「大磯町郷土資料館」
○利用案内
開館時間:午前9時から午後5時まで(入館は午後4時30分まで)
休館日:月曜日・毎月1日・年末年始(12月29日~1月4日)
入館料:無料
○リニューアル記念企画展「遺跡からみる近代別荘地の形成と展開」
会期:2016年11月3日(木)~12月18日(日)
入館料:無料
○交通案内
電車:JR東海道線「大磯」駅より、徒歩約30分(約2キロメートル)
バス:「二宮駅行」・「国府津駅行」・「湘南大磯住宅行」城山公園前下車より、徒歩5分
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ちょっと寄り道。帰りに城山公園内展望台からの夕日を眺めました。右に富士山、左に相模湾が見えます。鈴虫と鳥のさえずりが聞こえて、とても気持ちのいい場所でした。今日は寒かったので、長居はできませんでしたが…。
帰りには去年訪れた際にも食べた「さぬきうどん讃州」で、これまた去年と同じくかき揚げうどんをいただきました。白だしの優しい味と、腰のあるうどんと、香ばしい桜エビたっぷりのかき揚げが本当に美味です!今日はおでんまで食べてしまいました。出汁がよく素材に染み込んでいて最高でした。大磯に訪れた際には、ぜひオススメのお食事どころです。大磯小学校目の前にあります。近所にあれば毎週通いたい…。
さぬきうどん讃州 HP
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ちょっと寄り道。帰りに城山公園内展望台からの夕日を眺めました。右に富士山、左に相模湾が見えます。鈴虫と鳥のさえずりが聞こえて、とても気持ちのいい場所でした。今日は寒かったので、長居はできませんでしたが…。
展望台の上に居る鳥のオブジェは、城山荘にも取り付けられていた鳥と似ているような…(同じもの?)。
さぬきうどん讃州 HP